相続手続を放置していたことによって、新たな問題を呼び込むことがあります。
今回のケースは、気づけば相続人が20名を超えてしまった事例をご紹介すると共に、解決までの流れをご紹介します。
~ 目次 ~
「所有者でもないのに固定資産税を払い続けていかないといけないの?」
約20年前、大正生まれのZさんが亡くなりました。
Zさんの主な財産は隣り合う2つの土地・建物。
Zさんが亡くなった当時、相続人は、兄弟姉妹、甥・姪等を含めて全10名いました。
このときは、Zさん所有の不動産を誰のものにするのかという点は話がされず、相続人”Bさん”が固定資産税を払っていくことになりました。
そしてZさんが亡くなってから20年後。
Bさんは亡くなり、Bさんの妻Aさんが固定資産税を支払い続けていました。
Aさんは、「不動産の所有者でもないのに、ずっと固定資産税を支払続けるのはとても苦しいし、なにより子供が自分のような思いをして欲しくない。」とずっと悩んでいました。
しかし、Zさんが亡くなった当時の相続人も一部亡くなり、気づけば相続人は20名を超えていました。
このケースではどんな問題点が出てきたのか
このケースの場合は、以下のような問題点が出ていました。
(1)相続人が25名まで増えてしまったことで、各相続人との話し合いが必要となったこと
(2)相続人が亡くなったことによって行方不明者の親戚まで相続人となった
(3)戦災に遭った相続人の戸籍が焼失し、戸籍の取得ができない
問題解決までの道のり
いずれにしても相続人全員とZさんの相続財産をどうするのか話し合いをする必要があります。
しかし、相続人に行方不明者がいることによって、すぐに話し合いをすることができません。
このケースの解決までのステップは以下の通りです。
Step1 状況把握
相続人・財産を調査・把握することで、やるべきことを整理します。
①相続財産(不動産の登記簿謄本の取得など)
②相続人の調査(戸籍謄本の取得など)
Step2 相続人同士で話し合いができる状態にする
相続人に行方不明者等がいる場合は、話し合いの前に裁判所での手続きが必要になります。
①行方不明者の相続人に対して:失踪宣告申立
②戦災によって戸籍が焼失した相続人に対して:戸籍訂正申立等
Step3 話をまとめる
どのように相続財産を相続するのかを具体的に話し合います。
例えば、不動産を共同所有にしたり、不動産売却後に金銭を配分するなどを話し合います。
Step4 手続きの実行
例えば、不動産を共同所有にした場合は、不動産の名義変更手続きをします。
不動産を売却する場合は、売却手続きをします。
司法書士だからできたこと
(1)裁判所での必要な手続きをスムーズにナビゲーションできた
(2)中立の立場として、話をまとめられたこと
(3)話をまとめる過程で、不動産の知識が生かせたこと
(4)財産管理(草刈りや任意売却)ができたこと
まとめ
このケースは手続きが完了するまで2年の時間が必要となりました。
人が増えれば増えるほど、必要な手続きが増えたり、話し合いがまとまらない可能性が高くなってきます。
Zさんが亡くなった時点では相続人が10名だったことを考えると、動きは早い方がスムーズです。
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